藤田 淳 新作個展
GALLERY SIDE 2では10月20日より藤田淳の新作個展を開催いたします。1998年の初個展から5回目、7年ぶりの個展となります。オープニングはありませんが、ぜひに期間中に見ていただければ幸いです。会期は11月14日までとなります。この25年間、藤田淳は音を思わせる抽象絵画を継続してきました。平面にとどまらず、楽器を用いた立体や壁絵にチャレンジした展示も多くあります。20代に作家のアシスタントとして画面表層づくりをしていた藤田は、自分にはいったい現代美術という分野で制作を継続できるのかと悩み、音の肌合いを形にするという独自の方法で制作を始めました。リズムやアンプ、楽譜を思わせる線や形は、抑えた色やモノトーンで展開されます。多様な文化背景を持つの各地の音楽が日本で別の形で再構築され、オリジナルの持っていた問題意識や主張とは異なる解釈になっていったように、西洋の歴史では生まれ得なかった新たなフォルムの可能性を藤田は追求しています。藤田が影響を受けているミニマルテクノは、作者の感性と簡素な機材の実験から生まれてきた音。自己発生的に作られたものが新しい価値基準を生み出しました。身に付けて来た手法を駆使して、抽象的な感覚を表現する藤田の作風はミニマルテクノに限りなく近いといえるでしょう。様々な分野でハイテクはアナログな方法で生み出されますが、藤田の画面も手仕事の細やかさによって生成しています。新作展ではユニークに磨き上げた技術と自分のグルーヴをリミックスし、新たにカラフルな空間を作り出します。
1971 川崎生まれ 東京在住
1996 東京芸術大学大学院美術研究科油絵専攻修士課程修了